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「左ぁ之ぉ~。」
ゴクリと生唾を飲み込み原田が振り返ると、目だけが笑っていない藤堂が見えた。
(ま、まずい…)
野生の勘が、今すぐ逃げろと告げている。
一刻前――――――――
「藤堂さん、先日はおおきに!」
行きつけの甘味屋で一息つこうとしていると、向かいの酒屋の奥から酒屋の娘ミヨが現れた。
何のことか分からず、とりあえず愛想笑いを浮かべてその場をやり過ごそうとすると、ミヨは「はい」とばかりに手を出した。
「?」
「いやだわぁ~。原田さんからお聞きになってないんですか?賭けで負けてご馳走することになったんでしょう?はい、お代いただきにあがりました。」
―――――――――――
その後、ミヨに代金を支払い光の速さで屯所に戻った。
「どぉして僕が左之の酒代払わなくちゃいけないわけぇ?ちゃんと説明してくれる~?」
ボコボコにした原田から
「い、いつもの…仕返し…」
と小さな声が漏れてきたため、更にニ、三発殴り黙らせた。
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