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山南は迷っていた。
自分の身の振り方が、もう分からないのだ。
試衛館門人となり、近藤等と上洛し、今まで共に過ごしてきた。
清川らと別れ、京の街を護り、芹沢の粛正に加わり…
そして今、この新撰組は岐路に立たされているように感じる。
伊東甲子太郎等の入隊により、局内の雰囲気はガラリと変わった。
近藤派、伊東派の二派に分かれ、土方は常に苛々している。
血で血を洗うような粛正が日々行われ、 命を軽んじているかのように感じられる…
相変わらず土方とは相容れることができない。
ハァ…と一つ溜め息をつくと、山南は立ち上がった。
自室を見渡しても文机と山のような書物のみの簡素なものである。
明るい気持ちには到底なれず、愛にお茶を頼もうと台所へ向かう。
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