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「今晩は、お泊まりにはならないのですか…?」
伺うような表情。
「すまない。まだ仕事が残っているんだ。」
今日は、マズい。
抱いたら苛々をそのまま明里にぶつけてしまいそうな予感がする…
肩にもたれかかって甘える明里に、初めて褥を共にした日を思い出す。
―――――――――――
「山南さんは、どうして私を抱かないのですか?」
明里を指名して、もう暫くになるが、未だに指一本触れない自分がどうしても気になるらしい。
「私は、君を抱く為に此処に来ている訳ではないからね。」
此処に来て明里とすることと言えば、読み書きの苦手な彼女に文字を教えたり、一緒に物語を読んだり…
お酒を飲みながら、子どもの頃の思い出を話すのを聞いてもらったり…
それだけで自分は充分だと思っている。
それに…
この細くて白い身体に荒々しい自分の欲望をぶつけてしまうのが怖い。
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