山南敬助

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「では、後日。」 有無を言わせない言い方だった。 「承知しました。」 この場を丸く収める為に渋々返事をする。 さて… どうしたものでしょうか… ――――――――――― 「山南さん!今日こそは一緒に行きましょう!」 「平助…」 藤堂を使いに回すとは… 伊東と藤堂は北辰一刀流を修めており、以前から面識があった。 その藤堂の推薦での入隊。 自分と藤堂は試衛館の食客時代からの付き合い。 無碍に断れない事を見越した伊東の根回しみたいなものだ。 「そうですね。せっかくですからお伺いしますか。」 藤堂と共に、伊東の講義へ向かう。 話を聞いてみて、なるほどこれならば隊士たちは集まってくる、と思った。 確かに、我々は尊皇攘夷を志して上洛した。 また同じ志を持った者が集まってきた。 しかし、今はどうだ? 一部の者たちが力を持ち、全てを動かそうとしている。 近藤は驕り、鬼の面を付けた土方は脅威の存在と化している。 このままでは、本当に新撰組の行く末が危うい。 …私に出来ることは何か無いのか… 「【山南先生】お忙しい中お越しいただき有難うございました。」 チッ… 私がもう何も任されていないことを知った上での嫌み。 しかし、こんな所で仏の面を外す訳にもいかず、にっこりと微笑む。 「【伊東先生】此方こそ有難うございました。とても興味深いお話を聞くことができて良かったです。」
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