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「お時間がある時に、是非またいらして下さい。」
「そうですね。考えておきますよ。」
…疲れた。
その後も藤堂に誘われて何度か伊東の講義に足を運んだ。
藤堂は、どっぷりと伊東に傾倒している様子だ…
―――――――――――
「山南さん。ちょっと良いか?」
遂に来たか…
「土方君。どうしたんだい?急に。」
取り澄ました顔で返事をすると、会いたくないもう一人が姿を表す。
「あんたに話がある。」
「おや…珍しい。何だろう?」
自分でも白々しいと思ったが言ってしまう。
「とぼけるな!あんたが伊東の講義に出入りしてるのは、皆が知っている!」
やはりその話か…
「あんたは【総長】であると同時に、近藤派の一員なんだ!自分の立場をわきまえてくれ!」
「【わきまえる】ですか…土方君。私は、ちゃんとわきまえてますよ。だから、何も言わないでしょう?」
自分に今言える最大限の嫌みを言ったつもりだ。
「チッ…あんたには本当に感謝してるんだ。あんたが居なかったら…」
「言いたいことはそれだけかい?もう伊東の講義には行かない。これで良いだろう?話は此処までだ。ちょっと一人にしてくれないか…?」
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