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「なぁ、明里…君はこれから先どうなりたいと思っている?」
「どうって…?そりゃ、自由になりたいですよ。」
本当にあっけらかんと言う。
「此処に来てからずーっと考えてますもの。あ…だからって身請けして下さい!なんてそんな野暮なことは言いませんよ。」
ふふふっと笑う明里。
「…いつか、一緒に私の故郷に行ってくれるかい?」
無責任な事を言ってしまったと思った。
明日をも知れぬ命の自分には余りに似つかわしい。
すまない、無責任だった、と言おうとした瞬間
「そうですね…二人とも達者で居たら行きましょうか!」
とまるでちょっと旅にでも出るかのように明里が応える。
どこまでも明るい…
そして、肝が据わっている。
明里…
いつか君を…
―――――――――――
それは青天の霹靂だった。
伊東と共に土方に呼ばれ、何を言われるかと思っていたら…
「もう壬生屯所(ココ)は手狭になった。新撰組はこれだけの大所帯だ。場所を移す必要がある。」
正に寝耳に水。
「場所を移すと言っても…土方君、何処かあてはあるのかい?」
やっとの思いで言葉を発す。
「ああ。もう大体目星はついている。」
【西本願寺だ】と土方は言った。
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