山南敬助

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よりにもよって…!!! 「土方君、それは些か乱暴じゃないか?」 神聖な寺で粛正が行われたら、たまったものではないだろう。 静かに眠る者たちへの冒涜だ。 「彼処の寺はな、長州と通じている。それを牽制する為にもうってつけだ。」 土方は完璧な理由を突きつける。 「だが…!」 伊東は何故黙っている…!? 「…近藤さんは、どうお考えですか…?」 尋ねてから後悔した。 聞かなくとも、答えは決まっている… 「この件は、土方君に一任している。」 …疲れた。 ――――――――――― 土方から解放されると伊東に呼ばれる。 今度は一体何だ? 苛々も募るが、面は外せない… 「山南先生、今は我慢です…!耐えて力を付ける時期です…!」 此奴は何を言っているのだ…? 真意が読めず、訝しげな表情になる。 しかし次の瞬間、伊東の口から信じられない言葉が発せられた…! 「…私は、自分に付いてきてくれる者と共に、新撰組を変える…!」 「あ…伊東先生。貴方の狙いは…?」 「近藤の首だ…!」 なんと大それた… 「その際には、山南先生、貴方にも是非お力をお借りしたい。」 こんな所で講義に通った成果が出てしまうとは…! 確かに回を重ねる毎に、伊東が自分を信頼してくれるようになっていることに気付いていた。 【仏の面】の成せる技… 伊東の企みの全貌が見えた時、自分のすべき事をやっと悟った。
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