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私は、新撰組(ココ)を守りたい…!!!
伊東の志の高いことは、講義の内容からも明らかだ。
しかし、隠れていた真実が見えた今、此奴の存在は新撰組にとって危険過ぎる!
自分は…
やはり近藤や土方が好きなのだ…
藤堂や沖田が可愛くて仕方ないのだ…
井上や永倉や原田を信頼しているのだ…
あの日から伊東の講義に足繁く通い始めた。
伊東を刺激しないよう、話を流し合わせる。
土方とは以前にも増し距離を置いた。
誰の目にも、伊東派に寝返ったように映っているだろう…
護りたい者たちからは憎まれ、陥れたい者の信用を得るとは…
なんとも皮肉なものだな…
―――――――――――
…機は熟したか。
二、三日前から身の回りの整理を始めた。
昨夜書いた文を文机に置き、身支度を整える。
そして、最後に誰も居なくなる部屋に向かって一礼した。
文には【江戸へ向かいます】と書いた。
察しの良い土方ならば、これだけで充分だ。
まだまだ厳しい寒さの残る早朝、山南は静かに屯所を後にした。
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