山南敬助

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ただ一つ、気になることと言えば… 明里… すまない。 約束は守れそうにない… ――――――――――― さて… この辺で良いか。 旅籠を決め、少ない荷物を下ろし、しばしボーっとする。 …何刻経ったろうか。 来た…! 「総司!」 声を掛ければ相手は目を見開いて此方を見た。 「君が来てくれたんだね…」 「山南さん…何でこんな…」 責めるような口調。 「すまなかったね…」 「早く先へ!大津(ココ)まで追って、見つからなければそのまま戻るように言われています!」 必死な沖田を見ていると、逆に冷静になる自分が居る。 土方君… やはり君の方が本当の仏だね… 「私は、先へ進むつもりはないよ。屯所を出る時から覚悟していたからね。」 沖田の目が更に見開く。 「でも…屯所に戻ったら…」 「局を脱した者は皆切腹。」 「分かっていて何故…!!」 沖田がギリギリと奥歯を食いしばる音が聞こえてきそうだ。 「私が新撰組の為に出来ることはこんなことくらいなんだよ。」 …。 「とりあえず、今日はもう日も傾いてきたし、明日戻ることにしようか。」 …。
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