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翌朝早くに旅籠を後にし、二人で屯所へ向かった。
道中話し掛けるとポツリポツリと返事をするだけの沖田。
「なぁ、こんなに長い時間二人だけで過ごすなんて、後にも先にもないだろうから…もう少し楽しもうじゃないか。」
こう提案するが…流された。
漸く京に入る。
沖田は益々難しい顔になった。
総司でこの表情ってことは…鬼のあの人は…
クスッと笑うと、半ば呆れたように言われた。
「急にどうしたんですか。」
「いや…普段面白いことを言って笑わせてくれる君がこんな難しい顔なのだから…彼はどんな顔で出迎えてくれるのかな、と思ったら可笑しくてね…つい。悪気はないから怒らないでくれよ。」
こう言うと、一瞬黙った後吹き出す沖田。
「ぷっ!あはははは!山南さん…覚悟しといた方が良いですよ!」
―――――――――――
屯所に戻ると、土方に促され部屋に入る。
「…何で戻ってきた!?どうなるか分かってるだろう!!」
周りに聞かれないよう、耳元で話す土方。
「やっぱり君は鬼の面をかぶった仏だね…」
「…こんな時に何を!!!」
「私は法度に背いた。それで良いじゃないか…」
…。
―――――――――――
「山南敬助。切腹を申し渡す。」
苦渋の表情の近藤から言い渡された。
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