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その刻を迎えるまで過ごす部屋に通される。
見張りは気持ち程度のものだ。
まったく…と苦笑いしていると、藤堂がやってきた。
「愛が大変なんです…山南さんが居なくなっちゃうって…今ならまだ間に合います。逃げて下さ…」
「ありがとう。でも平助。彼女のことは君が護ってあげれば良い。彼女を悲しませたらいけないよ。」
「山南さん…」
今にも泣き出しそうな表情の藤堂。
この藤堂を皮切りに、次々と隊士たちがお別れを言いに来てくれた。
中には泣き出す者も居たが、宥めて帰した。
「山南さん…!」
「永倉君。来てくれたんだね。」
「今外に明里さんを連れて来たんだ…!身請けしてやったの山南さんなんだろ?二人で逃げてくれよ!!」
永倉の言葉に一瞬動揺してしまう自分が居る。
明里が…
今外に…?
「…それは…できないんだよ。私は、法度に背いた人間だからね。」
「今更何言ってるんだよ!土方さんだって、逃げて欲しいからこんな見張りの付け方してるんだ!誰だって分かってる!」
「明里と…話をさせてくれないか…?」
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