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勢いのあるうちは、少々の仲違いがあっても我慢ができるもの…
だが、既にかつての新撰組の勢いは無くなりつつあった。
鳥羽・伏見の戦いに敗れて江戸に引き揚げた新撰組には、かつての姿はなくなっていた…
井上が死んだ。
山崎が死んだ。
近藤は御陵衛士の報復の狙撃により、右肩付近に重傷を負った。
沖田は労咳が悪化し思うように動くこともままならなくなった。
歯車が徐々に噛み合わなくなれば、少々のことで衝突することもしばしば。
そして、遂に分裂を決定付ける出来事が起きた。
甲陽鎭撫隊と名を改めたものの、新政府軍との戦いに、甲府・勝沼と敗戦が続く。
そんな中、指揮権を巡り、近藤が永倉・原田と激しく対立してしまう。
自分の悪化した右肩の傷を治療を受けるために、隊を離れている間の指揮を任せたつもりの近藤。
近藤は勝沼の戦いでの敗戦の責任を取って指揮官を自分たちに譲ったと解釈した二人。
そして、思うように傷の良くならない近藤の苛々が爆発する。
新組織を結成し、迎え入れようとした二人の申し出を、近藤は突っぱねた。
「私の家来になるならば同行する。そうでなければ断る!」
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