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街の片隅
他人事。確かに。
この背の高い男は、あの少女の事をおもって目の届かないトコロへ離したんだ。
「あの、埋めるにしても、場所がないです」
「隣街と堺の河川敷なら大丈夫だろ」
「…遠いですよ?」
「遠いから」
「遠いから?」
おうむ返しになってしまう
「死ぬまでは誰かの温もりがあったほうがいいだろ。コイツ持っては何処にも入れないし」
「あ。…そうですね。」
「気にしないで、帰っていいぞ。いつ死ぬか判らないし」
「いえ。案内するって言ったし。それに、俺が先に見付けたから最後まで居たいです」
それからとりとめもない話をしながら、ながい道程をならんであるいた。
…何故だか、さっきまでの気分が晴れていくような気がした。
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