一章:初めてのおつかい

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   そんな紆余曲折を経て、とりあえず見晴らしの良い丘に向かう事にした。いや、紆余曲折なんて言っても、ただの消去法だけどね。  ――兵は神速を尊ぶ、と言う。行動は早ければ早いほど良い。  いつモンスターに遭遇するやもしれん所に、長々と滞在すんのは芳しくない。さっさと特産キノコを採集して、おさらばといきたいものである。  さっき居たエリア――ベースキャンプを出てすぐのエリア――に戻り、今度は森に入らないように丘が続くエリアへと進む。  そのエリアはランポスの目撃情報多数で、この森と丘の全てのエリアでも比較的避けたいエリア。  しかし、目的のエリアはこのエリアの先にある。危険なエリアではあるが、ここを通るのが最も効率が良いのだ。  もしランポスが居たなら、素直に逃げるしかない訳で、再び森に戻り、森の中から迂回するしかなくなる。  命と多少の手間を天秤に掛ければ、命が重たいのは当たり前だ。が、やはり少々めんどくさい。  森の中が安全な保証もないし、無論、疲れるし。  そんな俺に出来るのは、ランポスがいない事を祈るだけだ。  居るかどうかも分からない神様に祈りを捧げる。  ―――あぁ、天に坐す我らの神よ! 今こそ我に恩恵をば!!  入り口からこっそりとエリア全体を見渡す。  障害物の無いエリアだったので、比較的簡単に全体を見渡せられた。
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