序章:独禁法と特産キノコ

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   独り占めは如何なる場合でもよくない。  社会にある著作権を保証されていない全ての物は、社会に属する全ての人間の物である。  そう。それがどれだけ高価な物だとしても、だ。 『特産キノコ』  それは珍味中の珍味で知られるキノコ。肉厚でジューシーなそのキノコは、金持ち達の嗜みのような物になっている。  俺はというと、ただの一度も口にした事はない。というか、正直興味が湧かないのだ。  キノコなんてなんでも同じじゃん。貧乏くさい俺が背伸びしたって、特産キノコの良さなんて分からないに決まってる。  俺の興味は特産キノコを食べるとは、また別な所にあった。  俺の興味、もとい目的。  それは特産キノコを売ること。  色々なツテを頼り様々な情報を入手、吟味した結果、特産キノコは俺の財布事情の困難を解決してくれる事が分かった。  特産キノコの需要は驚くほど高いのだが、問題はそう簡単に採取出来ない、という所なあった。  このキノコ、人口栽培が難しいらしく、自然栽培でキノコが出来るのを待つしかない。  が、キノコ自体がモンスターの徘徊するさながら地獄のような地域にしかないのである。
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