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***
どうしよう。
このSDカードの中身を確認したいけれど・・・
お兄ちゃんに話すべき?
ううん。
これが事件に関係してるか分からない。
中川さんの個人的な写真かもしれない。それを私に見る権利なんてないんだけれど。
でも、自分の目で確認したい。
今お兄ちゃんに話したら、私は関われなくなってしまう。
お姉ちゃんの事故の事、分からないまままた過ごさないといけなくなってしまう。
それは、嫌だ。
明日、仕事が終わってまたネットカフェに行って中身を確認しよう。
ふう
気が付くと溜息しか出てこない。
自宅に戻って、冷蔵庫から水を取り出した瞬間、フワっと田島さんの香りがした。
お兄ちゃんと違う男の人の匂い。
このまま田島さんを好きになれたらどんなに楽だろう。
あんないい人居ない。
なのに・・・
携帯が鳴る。
田島さん?
さっき別れたばかりなのに・・・
「もしもし?」
『無事、着いた?』
「はい。あ、すみません。心配して下さったんですか?」
『送らないといけないのに一人で帰しちゃったから心配で・・・
あ、ねぇ矢野さん・・・ああ、やっぱりいいや。それじゃ』
「え?何ですか?ものすごく気になります」
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