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『滋ちゃん?』 通じてるはずなのに言葉を発しない私を訝しがってるのがよく分かるお兄ちゃんの声。 ああ、こんなにもお兄ちゃんの事分かるのに・・・ 「遅くにごめんなさい。滋です」 『うん。どうかした?』 周りが静か。 お兄ちゃんも家なんだろうか。 「もう家?」 『いや。まだ署に居るけど』 「こんな遅くまで・・お疲れ様」 『そんな事より、どうかした?』 「どうかしたっていうか・・・ちょっと聞いていい? 田島さんって人に私との関係とか聞きに行った? それから、なんだか人が付けてるみたいなんだけどそれって何か関係があるの?」 『それ、誰から聞いたの?』 「そんなの・・誰でもいいから。 どうして私の後をつけたりとかするの?」 『誰も・・・誰も滋ちゃんの後をつけたりとかしてないよ』 「嘘。だって田島さんが」 『田島さんに聞いたの? 警察が聞き込みに来たとか?』 少しだけ怒ってる感じがして、言葉に詰まる。 「後をつけてる人が居るって。多分警察だろうって」 『気のせいだよ。 こっちから滋ちゃんの後を付けるような指示は出てないから。 それより、中川さんの家に行ったんだよね? 何か聞いたりとか見つけたりとかしてないよね?』 「してない」 お兄ちゃんにばれないように慎重に答える。 『そう。 だったらいいけど。 とりあえず誰か後をつけてるのが事実なら、こっちが調べるから。 滋ちゃんは大人しくしてるんだよ』 「・・・おやすみなさい」 ハイって答えられなかった。 だって、これは私の問題だから。
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