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ネットカフェを出ると、すでに外は暗くなっていた。
ぐぅと情けない音が耳に入って『お腹すいた』と小さく呟く。
コンビニで何か買って帰ろう。
何がヒントで重要なのかサッパリわからない。
やっぱりお兄ちゃんに相談しないといけないのかな。
ガン
後ろから衝撃が走ったと思った瞬間、肩にかけてあったバッグが引っ張られる。
「え?」
反射的にバッグを引っ張ろうとすると自転車に乗った人がそのまま凄い勢いで走ろうとするから私も走り出す。
訳もわからずただただ必死でバッグを引っ張ると数人居た通行人が慌てたように『ひったくり』と叫んだ。
自転車の男はバッグから手を放すと、そのまま走り去り私は勢い余って転んでしまった。
「大丈夫ですか」
『ひったくり』と叫んでくれた人が声をかけてくれて『大丈夫です』と立ち上がろうとして膝に痛みを感じる。
よく見ると膝も手も擦り傷が出来て血が滲んでいた。
「とりあえず警察に」
そう言われて慌ててそれを止める。
「何も取られてませんし、大丈夫です。ありがとうございます」
それだけ言って、足早にその場を後にする。
ただのひったくり?
恐ろしくて足が震えるけれど、必死に足を動かす。
そのたびに膝が痛むけれど、立ち止まったらまた襲われそうで止まることができなかった。
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