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「これくらいでも足りないくらいだよ!」
病院に連れて行って警察にも行きたいくらいなのに!と憤慨する田島さん。
「本当に大丈夫?」
肩に手を置いて心配そうに私の顔を覗き込む。
か・・顔が近いです。
「それじゃ、それでよろしく」
突然奥の扉が開いて数人人が出てくる。
ビクっと体が反応すると、田島さんが笑っていた。
「あれ?田島さん帰ったんじゃないんですか?
怪我!」
綺麗な女性が私の包帯を見て、慌てて近づいてきた。
「ドジッコちゃんでそこで転んだのを目撃したから、君に手当してもらおうと思って連れてきたんだけど」
ドジッコちゃんって・・・
でも、そのおかげで詳しく聞かれることもなかったのでほっとした。
「あ、その薬よく効くんですよ」
テーブルに乗った軟膏を見て女性が絶賛する。
そんな効くんだ。
「大丈夫かい」
女性の後ろから端正な顔立ちの男性が心配そうに私を見る。
「はい。あのすみません。なんだか手当していただいて」
「矢野さんは気にしなくていいの。
先生、彼女がお弁当屋さんの子です」
「へぇ君が噂の」
噂?
「田島さんが振られた彼女ね」
「え?いえ、あの」
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