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新田先生。 ポスターくらいでしか顔を知らないけど、間違いなく一緒の顔。 田島さん、私の事新田先生に話してたの? 恥ずかしくなって、下を向く。 「先生が変な事言うから、矢野さんが下向いたじゃないですか」 「あ~、ごめんごめん。 矢野さん?ごめんね。悪気はなかったんだよ」 「いえ、あの、すみません・・・」 色んな意味のすみませんだよ、もう。 でも凄くアットホームな雰囲気。 「すみません、矢野さん送ってきます」 「いえ、そんな。手当していただいた上に」 「怪我してるんだからそこは甘えるといいよ」 「田島さん、私もついでに送ってくださいよ」 「君はまだ仕事残ってるだろ」 「けち」 アハハとみんなが笑う。 本当にいい職場なんだな。 「お世話になりました」 「これも何かの縁だから、いつでも遊びにおいで」 新田先生がにこやかに私に手を振った。 「凄くいい方達ですね」 「それは俺も含めて?」 「もちろんです」 「ありがとう。 でも、本当に新田先生は素晴らしいよ」 「尊敬されてるんですね」 「今の俺があるのは先生のお蔭だしね。 それより、お腹空かない?」 「あ、いえ。ごめんなさい。 今日はちょっと疲れたのでこのまま帰ります」 「そっか。そうだよね。ごめん。 つい矢野さんと一緒だから浮かれちゃって」 田島さん・・・ 「あの。 今度、お礼に私がご馳走しますんで食事に行きませんか?」 私の提案に田島さんが一瞬びっくりしたような顔になった。 でも次の瞬間、凄く嬉しそうに笑ってくれてほっとした。
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