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仕事中は電話に出ない事をわかってて、俺は電話をかける。
ずるい奴だと、思う。
「郷美!」
連絡を貰って急いで駆け付ける。
間に合わない事は知っていたが、それでも走っていた。
霊安室の前に、うなだれた少女の姿があった。
俺の姿を見た彼女は、大きな眼にいっぱいの涙を貯めていた。
「ご・・ごめん、なさい・・・」
最後は嗚咽で聞こえなかった。
膝を抱えて謝る少女に俺は、何も言えなかった。
彼女は何も悪くない。
頭で分かっていても、泣いて謝る彼女にその事を言ってあげれない。
心の狭い俺がいる。
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