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「もしもし」
夕方、携帯の着信に気づき出る。
見なくても相手が彼女である事は分かっている。
「滋です」
「今日、誕生日だろ。
おめでとう」
そう言われて、彼女が喜ばない事は俺が一番知っている。
知っていて、俺はその言葉を口にする。
「ありがとう・・」
小さな返事。
23歳の彼女。
郷美が逝った年齢。
彼女が彼女と同じ年になった。
姉妹だけあって、声は前から似てはいたが、最近、表情までソックリになって来た。
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