0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「先輩、今から仮説を言いますがよろしいでしょうか?」
「ああ」
「もしかして、先輩は私に会いに来た」
「死ね」
無意識に俺の腕が氷川へと伸びる。そして、頭をハリセンで叩いたような気持ちのいい音が屋上に響いた。
「ふにゃ!?」
奇妙な声を上げ、氷川はその場にうずくまった。手で自分の頭を押さえ、殴られたであろう場所を一生懸命撫でていた。誰だろう、最初に痛い場所をさすれば痛みが引いていくと言った奴は。全くの嘘なのに。
気持ちの問題か? などとよくわからん事を考えていると、ふらふらと氷川が立ちあがってきた。
氷川の目はうっすらと涙がたまっており、俺に噛みつく勢いで話し出した。
「なんで殴るんですか! めちゃくちゃ痛いじゃないですか!!」
「そりゃあ痛く殴ったからな」
「痛くない殴り方なんてあるんですか!?」
「ない」
氷川の言葉は止まらず、だんだんと早口になっていく。
「しかもいきなり殴るとか人としてどうかしてると思います!」
「お前が変なこと言うからだろ」
「変なことってなんですか! ちょっとしたお茶目じゃないですか!!」
「お茶目にも度があるんだよ」
「それに授業中ですよ! なんで先輩がここにいるんですか!?」
「サボり」
「またですか!? またなんですね! これは先生に言って然るべき対応をして貰わないと!!」
「あー、お前うざい」
最初のコメントを投稿しよう!