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「なんですか先輩、氷川の顔見つめて」
「いや、相変わらずな顔してるなって」
「それは良い意味ですか? 悪い意味ですか? 悪い意味ですよね!」
笑ったり泣いたり、怒ったり真面目になったり。本当、お前は面倒だよ。
でもま、お前が居た方が退屈しないし、一日一回は氷川を殴らないと気が済まないしな。
「先輩、聞いてるんですか?」
「聞いてない」
「もう、またそう言う……」
俺は言葉を待たず、氷川の頭を撫でた。また殴られると思って手で防ぐような仕草をするが、それがすぐ違うと気付き手を下す。
「先輩、いきなり優しくなるのも卑怯です」
「優しくなんてなってない」
「もうっ。じゃあそういう事にしておきます」
自慢げに言われて少し腹がたったが、氷川の笑顔を見て殴る気力が失せた。くそっ、こんな顔しやがって。
「先輩っ」
笑顔の氷川が本当に嬉しそうに俺を呼ぶ。俺は仕方なくその呼びかけに答えるよう、優しく頭を撫で続けた。
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