「おねぇちゃん…」

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私が高校生の頃のお話です。 まだ空が青白く薄い霧に包まれた朝にいつもなら避ける道を自転車で家へ帰る途中でした。 その道は以前交通事故で小さな女の子が亡くなった場所で、まだ事故から日が浅く、お花やお菓子などがお供してありました。 事故現場を通り過ぎようとした時に、さっきまで薄く広がっていた霧が前も見えないくらい濃い霧へと変わりました。 ホーホー と鳥の鳴く声が辺りに響いてる意外は静寂に包まれていました。 一瞬誰かに呼ばれた気がして、自転車を止めた時、全身に鳥肌がザァァァと立ちました。 「‥‥‥おねぇちゃん」 幼さの残る声が私の真後ろから聞こえてきました。 …いる。 気配と視線を感じ、体が強張りました。 少しの間体が縛られたように硬直し、全く動けませんでした。 (こないで。) ギュッと目をつぶり、頭で訴えかけた時やっと体が軽くなり、すぐその場を離れました。 いつしか霧が消え、手に汗が滲むのを感じました。 あれから幾度となくその道を通っているけれど、二度と同じ経験はしませんでした。
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