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しくしくしく。
しくしくひっく……。
青空をうつす太陽が沈み、空が赤みを帯びてきた頃、ある住宅の一角で、一人の女の子が泣いている。
ふかふかのベッドをハンカチにして顔を覆い隠してしまっているので、頭と背中しか見えない。
「初めまして、お嬢さん」
「だっ、だれ!?」
女の子は顔が見られないように、慌ててつぶったまぶたをこすった。
「こちらですよ」
言われるままに、声のした後ろの方を振り向くと、読みかけの絵本のページが眩く光っている。
「なんで!? え……」
その眩い光の中から、だんだんと兎の耳らしき輪郭が姿を現し、ついに本から兎が飛び出してきた。
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