始まり…

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入学してから一週間がたった。 俺は当分母さんの機嫌をとるためちゃんと学校に行っている。 先生の話は聞いてないが授業もちゃんと受けている。 周りの奴らからの視線は変らないが、特にくっついて来たり、ねたんでくる奴はいなかった。 一人を除いて… 『はよ…』 俺はHRが始まるぎりぎりで教室に入り席に座る。 すると翔と伊吹が俺のもとにやって来た。 これも一週間で日課になってきた。 「おはよう」 「はよ、珍しいな。お前がこう続けて学校来るなんて」 『ウルセー!』 翔の言葉に俺が声を上げると俺の頭に何かが乗せられた。 『?』 俺が視線を上げると、あの赤毛が… 「朝から元気だな」 「おはよ、黒田」 「おはよう、黒田くん」 翔と伊吹は突然現れた黒田に挨拶する。 そんな中、俺だけ黙って黒田を睨みつけた。 「そう睨むなよ」 だがコイツは全く動じなく、笑いながら俺の頭を撫でてきた。 『ウザイ…』 俺が黒田の手を払いのけると丁度チャイムがなり、高島が入ってきた。 黒田は「後でな」といい、席に戻って行った。 入学式から…いや正確には入学式の次の日から黒田はやけに俺らにくっついてくるようになった。 翔も、伊吹も最初は戸惑っていたが今は普通に話している。 入学当時からコイツは読めない。 無駄に俺の近くにいることは分かっているが いるだけで何もしてこないし、何も言って来ない。 まるで監視されているようで落ち着かない。 ・
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