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伊吹はそのまま話しを続けた。
「翔は拓也が倒れたのは知っているよね?」
「あ…ぁ…」
あまり思い出したくない記憶に俺は目を伏せながら答える。
「拓也もまだ目を覚ましていないんだ…
倒れた理由もよく分からない…けど…
拓也が起き次第、総会が開かれることに成ってる…」
「総・・・会…?」
聞き慣れない言葉に俺は顔を挙げて伊吹を見る。
そんな俺に伊吹は何処か辛そうな表情で頷く。
「拓也の実家で…此間すこし話したでしょ?」
「あ…拓也が知らなかったやつ?…」
「そう…それが開かれる」
俺は視線を降ろし再び伊吹に体重を預ける。
そしてふと思った疑問を口にする。
「それ…此間もしただろ…
そんなにすぐするものなのか?」
「…」
「…伊吹?」
何も答えない伊吹。
そんな伊吹に俺は再び伊吹の表情を見ようと顔を挙げたが、それより伊吹が俺の事を強く抱き閉めてきたので表情が良く見えなかった。
だけど一瞬、見えた表情は…
「…なんでお前がそんな泣きそうな表情してんだよ…」
「っ…だって…!」
今まで見た事のない伊吹の表情に俺は目を伏せる。
多分、伊吹をこんな表情にさせてるのは俺なんだろ…
その原因も俺は多分、うすうす気づいてる…
だけど今までそれに目を背けてきた…
多分、これを認めてしまったら俺は俺じゃなくなる…
それが分かってて目を背けてきた…
だけど…こいつにこんな表情をさせ続けるなら…
俺はもう目を背けないよ…
そう思えるのは…俺が伊吹を…好きだから…なのかな・・・
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