鬼神の誕生

2/78
前へ
/598ページ
次へ
拓也Side あの時…翔に触ろうとした時に見えたのは… 俺を犯した奴らを無残に切り裂いて… 血の海に一人立っていた…翔の姿… その頭には鬼がはやす角と… その手には見慣れない刀のようなものが握られていて… その瞳は…黄色かった 翔…あれは…お前…なのか? 答えが出ない疑問に、俺はどうすることも出来ず、ただ暗闇の中で立ちつくしていた。 いや…違う…答えは分かっている… けどその答えを信じたくないだけ… ここは似ている… 俺が心を閉ざしたときの場所と… そうだろ? 俺は後ろに現われたもう一人の俺に振り向き問う。 もう一人の俺は此間とは違い、険しい表情を見せる。 「なぜここに立ち止まる?答えは分かっているだろ?」 分かりたくない…信じたくない!こんなの… 俺は真っ直ぐもう一人の俺を見る。 「お前がここにいても現実は進む。いい加減に目を覚ませ」 あいつは…本当に…そうなのか? どうにかならないのか? 俺は話しを聞かず、もう一人の俺に問う。 すると、もう一人の俺の表情が一瞬、苦虫を潰したように歪んだ。 それを俺は見逃さなかった。 ・
/598ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2108人が本棚に入れています
本棚に追加