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拓也Side
あの時…翔に触ろうとした時に見えたのは…
俺を犯した奴らを無残に切り裂いて…
血の海に一人立っていた…翔の姿…
その頭には鬼がはやす角と…
その手には見慣れない刀のようなものが握られていて…
その瞳は…黄色かった
翔…あれは…お前…なのか?
答えが出ない疑問に、俺はどうすることも出来ず、ただ暗闇の中で立ちつくしていた。
いや…違う…答えは分かっている…
けどその答えを信じたくないだけ…
ここは似ている…
俺が心を閉ざしたときの場所と…
そうだろ?
俺は後ろに現われたもう一人の俺に振り向き問う。
もう一人の俺は此間とは違い、険しい表情を見せる。
「なぜここに立ち止まる?答えは分かっているだろ?」
分かりたくない…信じたくない!こんなの…
俺は真っ直ぐもう一人の俺を見る。
「お前がここにいても現実は進む。いい加減に目を覚ませ」
あいつは…本当に…そうなのか?
どうにかならないのか?
俺は話しを聞かず、もう一人の俺に問う。
すると、もう一人の俺の表情が一瞬、苦虫を潰したように歪んだ。
それを俺は見逃さなかった。
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