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「それ、私邪魔していいですか?」
後ろを振り返ると、森田さんがベッドから立ち上がっていた。
「今までだって十分俺の邪魔してきたでしょ。」
俺がそう言うと森田さんがふっと笑う。
「確かに、その通りですね…。」
そう言いながら俺の前まで歩いてくる。
「今晩だけでいいから、私と一緒にいてくませんか?そしたら、もう2人のこと邪魔しないって約束します。」
切なげな表情で俺を見つめる。
「…断ったらどうなるの、それ?」
そう言うと、森田さんの瞳が揺れる。
「…私、みんなに言ったんです。水嶋さんのことが好きで、工藤さんに相談にのってもらってるって。」
「だから、何?」
森田さんの遠回しな言い方に冷たく返す。
「今から2人が晴れて付き合うことになっても、工藤さんは後輩の好きな人をとった女ってことになりますよ。」
そこまで言って森田さんが1度唇をキュッと噛み締めた。
「…そしたら工藤さん仕事しずらくなりますね。女は横取りとかそういうの敏感に反応するから。同性に嫌われるってキツいですよ、特に工藤さんみたいに周りが気になる人は。水嶋さんは大好きな工藤さんが悲しんだり苦しむ姿なんて見たくないですよね?」
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