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キーンコーンカーンコーン―……
午後5時になり、時間を知らせるチャイムが地下室に鳴り響く。
幸実はピンセットを机の上に置き、伸びをする。
そして、大分分けられた陶器をザッと見て、
――大分できたな。
この分なら今日徹夜をすれば
全部分け終わるだろう。
そしたら、明日から
修復できる――
満足げな表情をした幸実は立ち上がった。
すると、
「高崎さん、帰るのですか?」
と、彼女と同じ作業をしていた学芸員の一人、山口が気付き話しかけてくる。
しかし、幸実は首を横に振った。
「いや、区切りがいいんで
夕食を食べに行こうと思って…
お二方も行きますか?
近場の定食屋ですが、
なかなか旨いですよ」
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