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幸実は不機嫌さの滲み出た瞳でギロリとその声をかけた相手を見た。
お盆を持った茶髪の背の高い男は、その睨みに怯んだのかヒクリと頬を引きつらせ一歩後退る。
彼は、河木勉(カワキ ツトム)。年は幸実より三つ上の25歳。
大学院を卒業後にここに入社をしたので、年は上だが同じ新人学芸員。
茶髪の上、サーフィンが趣味らしく肌は小麦色に日焼けしており、見た目はとてめチャラそうに見えるが、とても真面目な好青年だ。
「つ、疲れた顔しているな。
大丈夫か?」
河木はそう言いながら、幸実にコーヒーを手渡す。
彼女は無言でコーヒーを受け取ると一口飲み、重い溜め息をついた。
「人間誰だって
三日も徹夜をすれば、
疲れが顔にでる」
幸実は吐き捨てるようにそう言うと、コーヒーをもう一口飲む。
普段なら苦くて飲めるものでもない安物のインスタントコーヒーも、今はその苦味が疲れた体には心地よい。
「三日ってそんなに!?」
河木は信じられないとでも言うように叫んだ。
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