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しかし、幸実は河木のその言葉を予想していたらしく、大して気にすることもせず、コーヒーをグィッと飲んだ。
そして、飲み終えたコーヒーカップを河木に渡し、
「ありがとうな。
二人にも入れてやってくれ。
これは目が醒めるから」
そう言って河木にニヤリと笑いかける。
「目が醒めるって、
遠回しに不味いと
言ってるのか?」
カップを受け取りお盆に乗せた河木は、意地悪そうに唇の端を上げてそう言う。
「不味くはねぇよ。
ただ信じられないくらい
苦いだけだ」
「それを不味いと世間では
言うんじゃないのか?」
「かもな。
だが、職場にある
コーヒーだし
期待するだけ無駄だ」
「違いない」
散々コーヒーを貶した後、二人は軽く笑い合う。
そして、幸実はピンセットを持ち作業を再開させ、河木は二人にコーヒーを入れるため給湯室に戻って行った。
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