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私が小学生の高学年の頃、Jリーグが開幕した。
一気にサッカーブームが到来する中、私は全く興味がないばかりか、軟派な気がして、バカにもしていた。
それから、数年後…
昔でいうチャンネル争いに負け、サッカーを観戦する機会がやってきた。
「地元なんだから当たり前だ!」
と、パパが意気込みながら。リモコンを私から取り上げる。
今日は、地元チームが初めての優勝をかけた大事な試合らしい。
「ほら、始まるぞ!」
すでにテンション高めのパパを横目に仕方なく付き合うことにした。
地元ですから、一応ね。
数分後。
「あー!!なんだよー!!」
パパの迫力は満点になっていたが、私もすごく気持ちが高ぶっていて、ルールも何もわからないのに、すっかり目が離せなくなっていた。
「この10番は日本代表なんだ。まだ20歳だぞ!そのうち、日本の司令塔になるぞー。」
パパが誇らしげに語る10番は、仲神亮佑(なかがみ りょうすけ)という。
確かに、全然無知な私でも分かるくらい上手い!
20歳なら、私と4つしか変わらない。
でも、私の嫌いなタイプ。まず、金髪にピアスでしょ、自信ありまくりな感じでしょ、それに、なんか熱そうだし‥
とにかく軽そうなナルシストで嫌。
と、断固拒否なのに、そんなに沢山の特徴をあげられるほど、私は彼が気になって見ていた。
マイナスな目線だったはずなのに、彼の活躍っぷりが次の瞬間、私を変えた。
「入った!!!」
まだゴールが遠くにみえていたのに明らかに狙ったシュートが入った。
一斉にチームメイトに抱きつかれ、頭をグシャグシャにされるくらい褒められて、めちゃくちゃ嬉しそうな顔をしてる彼があまりにも自然体で、なんていうか‥うん、、、
好きになったみたいだよ。キュンとしちゃった。
それは、優勝を決める1点で、すぐにホイッスルがなった。
そして、彼は泣いた。
嬉しそうに泣いてた。
そんな彼に会いたくなった16歳の私だった。
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