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「やっぱり影には何も聞こえませんが……」
静かに影は呟き思った。
1キロ先の話し声まで聞き分ける力を持っている自分に聞こえぬのだ。
ただの聞き間違いか、空耳だろうと。
なので、この行為も、いつものわがまま、子供の遊び程度に考えていた。
その甘い考えが、自分の首を絞める事になるとも知らずに……
「早く来なよ!!」
そんな事はお構いなく、紅奈は影を側へと招く。
いくら遊びとはいえ、影に拒否権は無い。
影は素早く紅奈の隣の岩の上に立った。
「ここから聞こえるんだ」
紅奈が指差す先を見て、影はますます疑心を強めた。
そこは岩による壁。
洞窟の行き止まりだったのだ。
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