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「…そう?じゃあ、市原くんを信じるよ!?」
私は無理矢理大丈夫と自分に言い聞かせた。
松下とグルになって店のものを勝手に食べたりしないだろうか。
お客様に失礼なことを平気で言わないだろうか。
未成年のお客様にお酒を飲ませて、お客様が暴れ回って警察沙汰になったりしないだろうか…。
考え出せばきりがなかった。
しかし今日は高橋が不在で忙しかったため、体にはもう限界がきていた。
眠い…。考えるのはもうやめよう。
やがて松下が出勤し、私は私服に着替えてホールへ出てきた。
どうせ家と店だけの行き帰りなのに、髪をワックスで整え直して、アクセも忘れずつける。
好きな格好をして好きな音楽を聴いて歩く5分間が、唯一の私の趣味なのだ。
いつもは高橋に任せてそそくさと帰るが、やはり今日は帰りにくい。
遠くから、接客する市原の姿をしばらく傍観していた。
やがて市原の手が空いたようで、こっちへ近づいて来た。
私は、「じゃあ、私はこれで」と挨拶する準備を頭の中で完了させる。
市原はこちらへ向かって歩き続けた。そして私の間合いを難無く越え、私の頭頂部に手を伸ばした。
!?
頭を撫でられている。
よしよしされている!?
どういうことだ??
さっぱりわからない。
「ぶさいくだなー、星崎さんは♪」
はい?
市原は私を愛撫しながらそう発した。
意味がわからないんですけど!!!?
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