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坂の上の方から来た自転車は、きゅっと引き締まった音をたてて私のマンションの前で止まった。
「あ、牧野さん。おはようございます!そう、ミルクに朝ごはんをあげてて。」
牧野祥子はこの丘の上の一軒家に住んでいる。
旦那様の実家だが、随分と豪邸らしい。
シフトのスタートが同じだと、よく通勤途中に彼女に会うのだ。
「おはよう!まだ時間あるし、私も自転車押して歩こうかな。」
「いいんですか?」
私はこうして牧野さんと出勤するのが好きだ。
牧野さんは美人でスタイルも良くて、育ちも良い。 旦那様はまだ若いのに大学教授と聞いたことがある。
6歳の息子がいるので、朝ごはんは食卓にセットしてから来るという。
アルバイトをする必要はないのだが、何か仕事をしていないとダメな人間だそうだ。
そんな憧れの素敵主婦。
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