危険な反発

4/12
前へ
/31ページ
次へ
 坂の上の方から来た自転車は、きゅっと引き締まった音をたてて私のマンションの前で止まった。  「あ、牧野さん。おはようございます!そう、ミルクに朝ごはんをあげてて。」  牧野祥子はこの丘の上の一軒家に住んでいる。    旦那様の実家だが、随分と豪邸らしい。  シフトのスタートが同じだと、よく通勤途中に彼女に会うのだ。  「おはよう!まだ時間あるし、私も自転車押して歩こうかな。」  「いいんですか?」  私はこうして牧野さんと出勤するのが好きだ。  牧野さんは美人でスタイルも良くて、育ちも良い。 旦那様はまだ若いのに大学教授と聞いたことがある。  6歳の息子がいるので、朝ごはんは食卓にセットしてから来るという。  アルバイトをする必要はないのだが、何か仕事をしていないとダメな人間だそうだ。  そんな憧れの素敵主婦。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加