危険な反発

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 旦那様は…。  私は旦那様の人柄も確認した。今のところ無口だが、キレたら怖そうだ…。  「全部でいくらになるの!?」  駅前にあるために、急いで買いに来られるお客様はたまにいる。  しかし今回は21個。1台しかないレジは飲食のお客様で塞がっている。まだ後ろにもう1組会計待ちも出ている。  「すぐに計算致しますのでお待ちください。」  すぐに、と言ったがすぐには不可能だった。私は出来る限り手早くケースから慎重にケーキを出し、箱を組み立てて綺麗に敷き詰めた。焦って少しでも傾けると苺が落ちることもある。丁寧に扱わなくてはならない。  荒井はオーダーを取ったり料理を運んでいる。高橋は料理やドリンクを作っている。二人にはリセットと、お待ちのお客様を迎えるという仕事もある。呼ぶわけにはいかない。  市原はまだ2組目のお会計をし始めたところだ。お客様は学生の4人組で、別々の会計を申し込んだようだ。  「お前!俺らが先だろう!?何を考えている!?」  その時、順番を抜かされたと勘違いされた旦那様、いや、男が市原の胸ぐらを掴んでそう言った。  周りのお客様はそれに気づいたが、騒がしさ故、全体には声が響かなかった。  圧倒された学生のお客様は、  「…ど、どうぞ…。」  と一歩下がって会計の順番を譲った。  14個目、箱にして3箱目のケーキを入れたところで私の手は一瞬止まった。  「あぁ!後2分しかないわ!」  奥様、いや、女がさらに焦らせる。  「市原くん、ごめん、学生のお客様には待ってもらって。」  私はそう耳打ちした。  これ以上怒らせると何をされるかわからない。
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