危険な反発

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 私が6名様のテーブルをリセットしていると、市原が手伝いに来た。  私が下げ物台に食器を運び、市原がテーブルを拭いていく。  「千里ー。もーちょー忙しかったぁ~!死ぬぅ~!疲れた。早く煙草吸いたい…。」  いつもの市原に戻っている。  店内にはBGMがかかっているため、多少私語をしても遠くのお客様に聞こえることはない。  「ねぇ、なんであのとき順番を守らせたの?何されるかと思って、ハラハラしたわ…」  順番を守って頂くのか、これ以上怒らせないために優先させるのか、どちらが正解だったか私にはわからなかった。あそこまでガラの悪いお客様は初めてだ。   しかし市原には明確な理由があるようだった。  「だってあの学生の4名様はその前の家族連れの前から実はお会計待ってたんだもん。でも個別会計にしたくて時間かかると思ったから、きっとあの家族連れに先に会計を譲ってたんだ。それにその学生の人達はかなりの常連さんだよ。それだけ店を気に入ってくれてるのに、そこまで気を遣ってもらうのってなんか悪いなって思ったから。」  市原は塩と紙ナプキンの場所を整える。
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