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「鉄砕牙!!!」
犬夜叉の降り下ろした刀により、妖怪が悲鳴をあげて消え去った。
「ありがとうございました。」
「いえ、また何かありましたら遠慮なく」
弥勒は村の者に挨拶をすると犬夜叉と共に、村をあとにした。
「ったく!
もっと手応えのあるヤツはいねーのかよ」
お礼の品を担ぎながら犬夜叉がぶつくさと文句を言っていた。
「いないにこしたことはない。平和が一番だからな」
「けっ。俺はそんなんより戦ってたほうがいい」
犬夜叉は吐き捨てるように言った。
「戦ってる間はかごめ様のことを忘れられるということか?」
「!!」
ふいに言った弥勒の言葉がどうやら図星だったようで、犬夜叉は一瞬言葉が出なかった。
「…んなんじゃねーよ。
もういいんだよ…!かごめの事は!」
ふんっと強がる犬夜叉の背中を見つめ、弥勒は口を開いた。
「何がいいんだ?
かごめ様に未練たらたらなくせしやがって」
「…弥勒!」
良くなんかない──
そんな事は痛いくらいにわかってんだ──
「なあ、犬夜叉。
お前はこれからどうする?
楓様の村に残るのか!?」
「…えっ?」
最初、弥勒が言う意味を理解するのに少し時間がかかった。
「奈落は死に、四魂の玉も消滅し、我々が追ってきた因果もたちきった。
あとは平穏に生きていくだけだ…! 」
「…」
弥勒が言いたいことがわかった犬夜叉は、弥勒に背を向けた。
「お前はどう生きたい。
これから先、お前の未来を」
「…俺は…」
答えられなかった
今までの俺は一人でも生きていけた。
強くならなくちゃいけねぇ
早く本物の妖怪になるんだと
『犬夜叉は犬夜叉のままでいいんじゃない。
あたしは半妖のままの犬夜叉が好き…』
俺には何がある──?
俺の未来にはかごめはいない
かごめがいない毎日に
なんの楽しみもねぇ
こんなにも…───
朝が来るのが辛いのに
握りしめたこぶしが
震えた
まだ涙は枯れてはくれない
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