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ザアァァ───
春の暖かい風が黒髪をなびかせた。
かごめは朝日を浴び、そびえ立つ御神木を見上げていた。
あれから二度目の春がきた──
『だから~あたしの名前はか・ご・め!』
『犬夜叉、おすわりっっ』
『一緒にいさせて』
『だったら俺は、命を懸けてお前を守る』
犬夜叉…───
忘れようとしても
そのたびに思い出は蘇ってくる。
「かごめー!」
境内から由佳がかごめを呼ぶ声がし、かごめは御神木から視線を声のする方へ向けた。
「みんな!」
「なにやってんの!
早くしないと新学期早々に遅刻するよ」
絵里に声をかけられ
「ごめん!今いく!」
かごめは鞄を拾い由佳たちのもとへ走ろうとした。
「かごめっ!!」
「ママっ!?」
その時、息を少し切らして走ってくる母親に呼び止められた。
「お弁当、忘れてるわよ」
「あっ!
ありがとうママ!」
しまった!っとかごめは母親から弁当を受け取り、再び由佳たちのもとへ急いだ。
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