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毎日学校に行って
由佳たちや友達と他愛もない話をして
学校帰りに寄り道して…──
そんな平凡な生活をあたしは望んでいた。
みんなは高校に入って
好きな男の子ができたとか
誰と付き合ったとか
他の高校の男子と遊んだとか
そんな話が増えていった。
本当だったらあたしも…─
そう楽しく話てたの…かな…
でも犬夜叉がいないこの時代で
犬夜叉がいない未来で
あたしは本当に幸せなのかな
ねえ、犬夜叉
今なにしてる??
「…って話してるんだけど、かごめも来るでしょ?」
「えっ!?何の話だっけ?」
ぼーっと考えていて絵里たちの話が全く耳に入っていなかったかごめは、聞き返した。
「だから、今週の日曜日に北条くんも呼んでみんなで出掛けようって話よ!」
「ぇっ…あ、いや…あたしは…!」
正直、あまり乗り気ではなかった。
しかしそんなかごめの様子にすかさず由香が付け加える。
「夏になったら2年だっていうのに受験モードになっちゃうんだしさっ!今のうちにみんなで遊ばなきゃ!」
「北条くんの高校も進学校だしねぇ~」
由香の言葉に頷きながらあゆみも賛成していた。
「そう…だね。ぢゃあ行こうかな」
「よし!!ぢゃあ~決まりぃ~」
「どこ行く?!」
「久しぶりに遊園地なんてどう!?」
はしゃぐ三人の姿を見ながら、かごめの眼差しはどこか遠くを見つめていた。
由香もまた、そんなかごめの姿を見ていた。
この時あたし達は焦っていたのかもしれない。
怖かったのかもしれない──
入学式にも来ないかごめの様子を見に行ったら
何もない地面に向かって
かごめの家族が泣いていた
文化祭や入試にも来てたかごめの彼氏が
実は遠い時代から来ていて
かごめが病気で休んでいたんじゃなかったということ
最初は信じられなかったし
そんなのありえないと思った。
でもあの日から
かごめはどこか遠くを見つめることが多くなった
いつか彼の元へ行ける日が来るのかもしれない
嬉しいようで
かごめがずっと遠くに行ってしまう気がして
あたしたちが知らない世界に行ってしまう気がして
どこか怖かったんだ…──
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