第一章 発砲
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「風は横に流れている。こっちの火薬のにおいが向こうの鼻まで漂う様子は無いが…」 「おい、勘右衛門、この距離でやれるか?」 春之助は振り向きざま、これまた小声で鉄砲打ちの一人にたずねた。別に普通に話したところで犬の耳に届くくらい近くもない。が、獲物を見つけたという意識が何となくそうさせてしまう。
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