第一章 発砲

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 犬は足をもつれさせるように倒れ込み、これでけりがついたかに見えた。  しかし次の瞬間、その犬は再び立ち上がり、栄太郎たちがいるのとは反対の方向へ走り始めた。  心持ち足を引きずっている様にも見える。 「くそっ、急所を外したか!?」  あわてて犬を追いかける栄太郎たち。 「この方向…まずいぞ。あの先は人家が多い。」  栄太郎の顔に焦りの色が浮ぶ。 「ああ、おまけに稲葉様の陣屋もある…あの犬、子馬のかわりに人でも襲う気かよ!?」 春之助もイラ立ちを隠せない。  そして、追われた犬が飛び込んだ先は…。
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