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犬は足をもつれさせるように倒れ込み、これでけりがついたかに見えた。
しかし次の瞬間、その犬は再び立ち上がり、栄太郎たちがいるのとは反対の方向へ走り始めた。
心持ち足を引きずっている様にも見える。
「くそっ、急所を外したか!?」
あわてて犬を追いかける栄太郎たち。
「この方向…まずいぞ。あの先は人家が多い。」
栄太郎の顔に焦りの色が浮ぶ。
「ああ、おまけに稲葉様の陣屋もある…あの犬、子馬のかわりに人でも襲う気かよ!?」
春之助もイラ立ちを隠せない。
そして、追われた犬が飛び込んだ先は…。
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