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しばらくして、保冷剤をタオルに包んで持ってきてくれた先生。
「はい、当てといて。」
「…はぁい。」
「しばらく、食べるのも飲むのも苦労しそうだね。」
「…ダイエットになりますね。」
「それ以上痩せるつもり?骨と皮だけになるよ。」
真面目な顔して、あたしを見て言った。
…怒ってるの…?
冗談で言っただけなのに…。
この人には通じないのかな。
あたしを見る先生の目が真剣すぎて、直視できなくて、目線を少し落とした。
先生の白衣についている名札が目に入った。
『伊木 航平』と書いてあった。
この人、あたしの担当医なのか。
「…今日…、検査終わったら、すぐに帰れますか?」
「…結果次第だけど。」
どうせなら、うんと悪いほうがいいな。
そしたら病院に居れる。
病院に居たら、殴られない。
検査が終わって、何事もなくて、病院をでたら、どうしよう。
アパートに帰る?
…引っ越し…、しなきゃ…。
でもどこに?
お金は?
……怖いよ…。
「…なに、考えてるの?」
先生が、あたしの顔を覗き込む。
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