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覗き込まれて、思わず顔をそらした。
「何も考えてません。」
「彼のこと?」
「いいえ。」
「ふるえてるけど大丈夫?」
「大丈夫です。」
「…そ。ならいい。」
どうしても言えなかった。
先生は気付いてる。
先生に言ったら、何か変わるの?
助けてくれるの?
…弱そうだけど、この先生。
コンコン、とドアを叩く音。
思わずビクっとして、目が泳ぐ。
「岡さ~ん、お部屋、代わりましょうね。」
明るい声で入って来たのは、看護師さん。
「あ、伊木先生いらしたんですね。お部屋の準備できたので移動しますね。」
「うん、頼むね。」
…え。
部屋代わるの?
「ごめんね、岡さん。相部屋に移ってもらうけど。昼過ぎまで異常なかったら、退院できるから。」
…検査は?
「さ、岡さん。行きましょうか。」
看護師さんに促されて、立ち上がった。
…痛い。
歩けないほどでは無かったけど、少し大袈裟に痛がってみた。
「大丈夫?歩ける?」
心配そうに、あたしを支えてくれた看護師さん。
お願い…。
このまま、病院に居させて…。
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