♯3 麻痺。

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中尾の顔を見れないまま、あたしはその場を後にした。 “検査”というのは、あたしを中尾から遠ざける口実だったらしい。 別の病室に移ってから、しばらく伊木航平と話しをした。 先生の質問に、ただ愛想無く答えただけだけど。 肝心のDVのことになると、口を閉ざした。 「…いつでも、頼ってきていいからね。」 そう言って、先生は病室から出ていった。 お昼まで、あたしは何事もなく静かに過ごした。 足の骨の一本くらい折れてれば良かったのに。 退院の準備をしながら携帯を開いた。 【バイト行く。検査の結果、メールしといて。】 というメールが入っていた。 ふるえる手で返信をした。 【これから帰ります。】 とだけ。
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