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中尾の顔を見れないまま、あたしはその場を後にした。
“検査”というのは、あたしを中尾から遠ざける口実だったらしい。
別の病室に移ってから、しばらく伊木航平と話しをした。
先生の質問に、ただ愛想無く答えただけだけど。
肝心のDVのことになると、口を閉ざした。
「…いつでも、頼ってきていいからね。」
そう言って、先生は病室から出ていった。
お昼まで、あたしは何事もなく静かに過ごした。
足の骨の一本くらい折れてれば良かったのに。
退院の準備をしながら携帯を開いた。
【バイト行く。検査の結果、メールしといて。】
というメールが入っていた。
ふるえる手で返信をした。
【これから帰ります。】
とだけ。
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