♯3 麻痺。

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10月とはいえ、まだまだ暑い日が続いていた。 なのに、寒い、と思った。 「おかえり、ひかり。」 逆光で、中尾の表情が見えない。 「…た…だいま…。」 「なに玄関に突っ立ってんの。入れば?」 「…うん…」 恐る恐る、部屋に足を踏み入れる。 刺激しないようにしなきゃ…。 何度も何度も自分に言い聞かせた。 そして、中尾の隣にちょこんと座る。 とたん、抱きしめられた。 「…心配した。ごめんな、ひかり。ごめん。心配で気が狂いそうだった。」 …あたしは恐怖で気が変になりそうだよ…。 「俺、ひかりが良くなるまでここに居るから…。」 耳元で囁く中尾。 ……やめて…。 あんたが居たら、一生良くならないよ…。 「好きだよ、ひかり。」 そう言って、キスをされた。 深い、深いキス。 口の中が痛い… なんて、とても言えなかった。 結局、キスだけでは終わらずに 朝までベッドで抱き合った。 退院早々、一方的に抱かれた。 もう当分、気持ちいいなんて感じたことはない。 されるがまま…。 求められれば応じた。
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