♯3 麻痺。

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あたしは、こんなにも従順なのに 中尾は何が気に入らないんだろう。 「…なぁ。」 ベッドで、後ろから抱きしめられたまま、あたしに問い掛ける中尾。 「階段から落ちていく時さ…」 「…なに…?」 「……なんで笑ったの?」 「え……、笑ってた…?」 「うん。」 「…おかしいね。…変だね、あたし…。」 …笑ってたのか…。 恐怖も麻痺してくると、そうなるのかな。 中尾に対する恐怖も、じきに麻痺して何も感じなくなるかな。 何も感じなくなれば あたし この人を殺してしまうかもしれない…。 退院してから三日目の朝。 あたしは中尾の腕の中で、こんな恐ろしいことを考えていた。
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