四季おりおり

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鷹右は一拍置いてゆっくり口を開く。 「……夏世って子と…少し話をしたんだ… 怒っている風では無かったよ」 あれは…1ヶ月ほど前だろうか すっかり取り払われたアパートではなく、10年ぶりに帰ってきた実家。 臭いも温度も変わらない…ただ少し家具の配置の変わった家。 そして… 『おかえり…鷹右』 すっかり年をとった父親の抱擁と、おかえりと言う優しい言葉。 鷹右の暖かな時間は一度自分で壊しながらも、こうして迎えてくれる人がいる。 心の底で…ようやく全てに許された気がした。
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